一昨日、休日出勤したとき、好きだった人が3回私の元にきた。


もちろん仕事の用で来ていたのだけど。それでもあれからほとんど顔を出さず、顔を合わせても最低限の仕事の話しかしていなかったのに。朝、私一人のとき、訪ねてきて、何か話したそうにしていてた。私は話す勇気などないから、話さなかった。話したそうにしていたのも私の気のせいだと思うけれど、まだ帰らないの、と声をかけてきた声が、一番親しかった頃の、少し甘えるようなもので。だめって耳朶に熱をもった自分を叱咤したの。

最初の私の反応がやわらげだったせいかもしれない。それと自分の仕事が手持ち無沙汰だったから、暇つぶしに声をかけてきたのだろう。避けるようにずっと顔も見せていなかったのに。でも彼も私と話したかったのかもしれないなんて馬鹿な考えがほんの少し横切るの。本当馬鹿みたいに。こんなことは彼にとってはただの暇つぶしだ。私との間にあったことは忘れたはずはないだろうに、そんな声を掛けてくる。

ずっと考えていたけれど、その人のことは「分からない」ままだ。でも、彼がまた私の弱いところに甘えてきていることは、分かるの。散々話を聞いてくれた友人たちの忠告を思う。そのとおりかもしれない。まだ彼のことを好きな人としか見れてない私はまたひどく傷つくのだろう。私は何度も彼に気持ちを伝えたし、対して彼は応えられないって何度も言った。けれど二人きりになれば、何度も抱きしめられ、何度もキスをされた。会えない日は、こんなに好きなのにどうして会えないの、と何度も思った。そんな一方的な感情をその時はじめて知ったの。

口先が上手い彼は、ただふとまた私にちょっかいを掛けてきたのだろう。とても浅い考えで。人を傷つけるのが怖いと言っていたのに、人を傷つけている彼は、矛盾した人だ。簿冊を見つめていてた彼の横顔が、スターバックスで試験勉強をしていたときと、部屋でゲームをしていてたときと重なるの。何かを考えていて、少し緊張しているようなそんな横顔。大好きがよみがえるからやめて、と小さい私が顔を覆って俯くの。